小川山ボルダーで変態ムーブを楽しむ

金峰山荘横の車道がきれいに舗装されていた。ここのデコボコ、車を運転する人間には剣呑だったんだよね。

まず石楠花遊歩道エリアへ。一筆岩でウォームアップ。左端の4級で久しぶりの花崗岩スラブの感触を味わう。「達筆」で悩む。切り株に乗ってスタートしたくなる。はてさて。ま、いいか、アップだし。……って難しいじゃん! いきなり猫パンチをかまして流血。意気阻喪。そして、アナサジ・ベルクロを持ってこなかったことを激しく後悔。アローヘッドだと細かいのに乗りにくいと今さら気づく。

そこに単独の美女ボルダラーあらわる。

「これ登ったことあります?」ときいてみる。

「はい」

「切り株、使っていいんですかね」

「どうだったかな。使わなかったんじゃ」

「トポには取り付きに切り株が描いてありますね。使っていいという意味なのか、単なる目印なのか」

「あ、ほんまや」

関西からいらしたようです。ロンサムな女子ボルダラー、いいですねぇ。

私は切り株OKバージョンで完登。流れ岩方面に移動。有名課題をさわってみようかと目論んでいたけれど、続々とボルダラーが到着する様子を見て、小心者は地味な課題で遊ぶことに。

流れ岩の「流れの中に」。予備知識なしの私が第一感でやったムーブは……。

ふぅー。さすが1級だ。エグいアンダーガストンだなぁ。足上げが狭い。マントル怖ッ。荷物を置いた場所に戻ってジュースを飲んでいると、おっ、誰か登り始めた。リピートみたいだ。え? スタートホールドに手に足でスルスルっと。な、なんですとぉ。

私はかなり難しく登った模様。こんな変態ムーブ、普通しないか。……と思ったら、最近、同じムーブで登った人がいた。類は友を呼ぶ。

魚岩へ移動。「御頭SD」。これは傾斜があり、握れるホールドがある好きなタイプの課題。

出来ず。クラック左側のガバ地帯をさわっていいなら出来ると思うけど。使わずに登れそうな気がする。こだわってみようか。と言っても、小川山にはあまり来なかったりして。

水晶スラブ下ボルダーへ移動。賑わっている。が、ポツンと空き家の岩がある。角岩。ほどほどにかぶっていて、ほどほどの高さで、ほどほどにホールドがある。なのに誰も登らないってことは……。

理不尽系であった。ドンキー岩の「緑の手」も辛いと思ったけれど、「ヒッパルコス」はその上を行くかもしれない。いずれSDスタートをやりたいので、やや低い位置にある左手の薄いサイドカチと、右手のサイドガバカチでスタートしてみた。地ジャン気味にアンダーピンチをとる。取り損ねると、指先をジャリッと消耗する。細かいエッジを拾って右足を高めに上げ……、地蔵と化す。……の繰り返し。取り損ねて、もんどり打って、斜面をズダダーッと落ちたりした。にわかに脚光を浴びて、ちょんの間トライする人もあらわれたり。結局登れず。

この時期に小川山ボルダーに来たのは初めて。暖かくて、乾燥していて、白樺林は明るくて、快適であった。

コメント

  1. コミ より:

    変態ムーヴ仲間です(笑)。
    誰もが手に足だったので、ちょっと不安でしたが安心しました(苦笑)。
    達筆、悩みましたよ。
    切り株ありかぁ~。無しだと3級じゃ済まない気もしますね。
    ヒッパルコスはdekaabeさんも面白いけど登れない変態ムーヴって言っていました(苦笑)。
    それにしても、予感はありましたが小川山とは。

  2. 無名のK より:

    マニュアルどおりにさらっと登るも良し、悩んでオリジナルムーブで登るも楽し、ですね。