早稲田古書店街を歩いた。目当ての本を店頭の「一冊100円」の棚に見つけた。ふと他の本にも目をやると……。
思わず一緒に買った。日に晒されて変色しまくり。旧字が多くてスラスラとは読めない。本気で読むなら、新版を買ったほうが良さそう。
さて、本命は中央公論社の「日本の詩歌」シリーズの3冊。柄じゃない、と言われそう。脚注の解説が秀逸で楽しめる。
7冊をドンと店主の前に置いたときの反応も秀逸であった。店に入ったときから、ぼーっとテレビでも見ているのか、商売っ気が感じられない親父さんだ。雰囲気が桃屋のCMに出てくる眼鏡のお父さんに似ている。
「あれぇ~っ?」と頓狂な声を上げる。「これ前の棚にあった? 後ろに隠れてたのかな」
(いえいえ、前面に3冊並んでいましたよ)と私の心の声。
「自分で出しといて忘れてたぁ。すぐ売れたら憶えてるんだけど。これは欠品のある全集でね。前は300円で出してたのよ。これが最後の3冊」
(そのうちの何冊かは、たぶん私が買いました)
「700円ね」とレジ袋に入れてくれる。「はい、お願いね」
私は店を出てから「はい、お願いね」の意味をしばらく考えた。「色々な持ち主の手を渡ってきた本だよ。今度はあなたがヨロシクね」かな。
他にも古書店を回ったけれど、結局この7冊しか収穫はなかった。カモシカスポーツを冷やかしてから帰途についた。
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