小川山、ゴジラ岩の洗礼

松ちゃんと。昨年12月以来の一泊二日クライミング。廻り目平をあとにして林道をたどる。フェニックスの大岩を過ぎて最初の大沢出合いから、どんよりとガスに煙る岩峰が見える。

ケルンや、赤黄色のビニールテープを頼りに樹林帯を登り詰めると、ゴジラ岩火星人のコルに出る。ゴジラ岩の正面へは裏手から西側を巻く。突如開ける視界。横一文字のテラス。そそり立つ薄被りのフェース。

数年前に此処を訪れたことがある。土地勘もなく、火星人とのコルを通り過ぎて、反対側の斜面へ下り始めた。おかしいな、と思ってコルへ引き返し、ふと顔を上げたら、目の前に火星人のフェースが広がっていた。ウォーミングアップをしようとしたら雨が降り出したので下山。帰りがけの駄賃にゴジラ岩の脇から顔を突き出し、露出感あふれるテラスと峻立するフェースに畏れ入って、踝を返したのであった。

今シーズン初の花崗岩。いきなり、ちゃびんば(13a)に取り付く。

1本目は木に登ってプリクリップする。すぐに極小エッジの核心となるので後ろの木に注意。(Rock&Snow No.3)

湿度が高い。2本目のクリップホールドにデッドポイントしようとすると、保持した指先が弾かれそう。腰痛のため足腰を最大限に生かしたムーブも出来ない。固執せずスキップを決め込む。中間部は多少ムーブらしきものが出来た。なんとか最上部に辿り着いてみたら、いやはや本当の核心は最上部ではなかろうか。5本目をどうやってクリップするのか。ミリカチで決死のクリップ? クリップできたとして、ガバまでどうやって辿り着くのか。手も足も乏し過ぎる。仮にガバに辿り着いたとして、リップはやけに遠く、そして外傾している……。

2トライしたあと長い休憩をとった。15時頃、雲間から太陽が覗く。あれれ。太陽の角度からすると、ゴジラ岩は完全に南向きではないか。真夏、遮るもののない壁で、クライマーの指はミリカチに弾かれ、ビレイヤーともども日干しになってしまうにちがいない。

「こりゃー、春か秋の岩場だね」

3トライ目で終了点まで乗っ越した。終了点のボルトは貧弱で、残置スリングは痛んでいる。120センチのスリング2本と、ヌンチャク1枚でバックアップして、ロワーダウン。このルートに関する限り、裏から回って簡単に回収できる。

松ちゃんは無職の夏休み(12b)にトライ。やはり最上部のスラブが難しそう。けれども、ある理由から妙に気に入ったようである。

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