新井裕己さんが山岳事故で亡くなった。
28日午前8時10分ごろ、長野、富山県境の北アルプス五竜岳(2814メートル)山頂から約300メートル下の急斜面で、群馬県高崎市九蔵町、東大スキー山岳部監督新井裕己(ゆうき)さん(32)が倒れているのを、長野県警ヘリが発見した。新井さんは既に死亡していた。
同県警大町署の発表によると、山頂付近には、新井さんのものとみられるスキー板が刺さっていた。同署は山頂付近から滑落したとみている。
新井さんは山岳スキーをするため、23日から同県白馬村から1人で入山、24日に下山する予定だった。新井さんの知人が27日夕、「新井さんのブログが更新されてない」と、同村遭難対策協議会に連絡し、28日朝から県警が捜索していた。
新井さんは、鹿島槍ヶ岳北壁などの初滑降記録を持つ、日本を代表する山岳スキーヤー。ロッククライミングにも精通し、日本山岳協会選手強化委員を務めている。
(2008年4月28日11時22分 読売新聞)
新井さんがROCK&SNOW誌?22から?39まで連載した「ハードコア人体実験室」は、クライミングにまつわる運動生理学、栄養学の分野において、これまで自己流で取り組んできた多くのクライマーに影響を与えたのではないかと思う。連載の終了を見越してか、ブログLaboratorismで情報発信を開始し、スポーツクライミングシューズ専用の中敷「攀骨」の企画販売を開始した矢先のことである。ご本人は遣り残したことが沢山あったであろう。そして、その他大勢の山岳愛好者を挑発したであろう多くのアイデアが発表されないまま失われてしまった。
現在、ブログは閉鎖されているけれど、「ハードコア人体実験室」の連載も含めて、なんらかの形でWEB上で公開し、新井さんの功績・軌跡を永続的に残すことができないものかと思う。紙媒体の「遺稿集」「追悼本」ではなく。進取の気性に富んだ新井さんご自身に意見を聞くことができたら、きっと賛成してくれるにちがいない。
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