湯河原幕岩、貝殻岩ボルダー、「サブウェイ」

人っ子ひとり居ない。梅林の散歩客が迷い込んでくることはなく、気を散らすラウドスピーカーも鳴らない。ウッシッシ、とほくそ笑みながらマットを敷いていたら、シリカゲルさんと愉快な仲間達が登ってこられた。やがて役人さんとユキちゃんも。K宮さんも。なんやいつも通りやおまへんか。

苦手な衆人環視のもと、ムーブの確認とトライ。2~3回目で最高到達点へ。今まででいちばん余裕があったけれど、右手の這い上がりホールドを止めきれなかった。しばし休んで、指先を冷やしたのち……。

やっとこさ完登。ほっ。

もしかすると第3登? 雨に濡れたホールドを懸命に乾かし、暴風にマットごと吹き飛ばされながら、修業を続けてきた。すんなり登れるのも嬉しいけれど、苦労して登れるのも嬉しい。

賑わっている時は、トライするタイミングが難しいので、ビデオは回さなかった。代わりに、過去の惜しかったトライでも。

私にとってムーブの核心は4手目の左手寄せであった。左足ヒールのガニマタで岩を抱きかかえて振られ止めするのが、腰痛持ちには辛い。最初は左足をフラッギングして寄せていたけれど、確率が悪く、消耗が激しかった。覚悟して抱きかかえてみたら、思ったより痛くなかった。そのあと左手のピンチへクロスするところも、リップに左足ヒールをかけて掻き込むのは無理。縦クラックのあたりに真っ直ぐ引っかけてぶら下がると、掻き込まずに回転できることを発見した。苦しまぎれであったが、あとで足数を節約できるメリットもあり、万人におすすめ。役人さんにも好評であった。

他のエリアに移動して、のんびり下地の整備をしていたら、いつの間にか帰る時間になっていた。日が長くなった。

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