潜水夫のジレンマ

二転三転する天気予報に翻弄された週末。ジムでロープクライミングと相成った。天窓から絨毯に落ちる日差しに唖然としながら。全てのルートにヌンチャクが掛かり、取り付きは平坦である。裸足で闊歩できる。座椅子まで持ち出して寛いでいる人がいるではないか。雨の心配なし。途中敗退OK。加山雄三なら、ぼかぁしやわせだなぁ、とつぶやくかもしれない。たまにはこんな一日も良い。

海中を舞台にしたドラマで、ヒーローとヒロインがレギュレータを交替にくわえて酸素を吸う場面がある。スキューバダイビングでは救急法として必須科目なのであろう。あの状況でどれくらいの時間を延命できるのであろうか。まさか酸素が持つ限りずっとではあるまい。いつか限界がくる。どちらか一人が余計に吸えば、もう一人は苦しむ。ふたりとも助からないと、ハッピーエンドは訪れない。

オーバーハングを登るフリークライミングではまさに同じ状況を体験する。我が身を顧みると、ヒーロー(右手)かヒロイン(左手)のどちらかが、あるいはどちらもが窒息死する場面が多い。酸素供給状況を示すメーターが両腕に付いていればいいのにと思う。疲れているほうを重点的に休ませたいものだ。

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