レジスタンス系のクライミング

クライマーズ・ボディ」(61頁)より長い引用。

クライミングの持久力にはストレニュアスとレジスタンスの2種類がある。
ストレニュアスとは(中略)、レストをはさみながら長いスパンの中で前腕のパンプに耐えつつ、ハイパワー発揮を何度も積み上げていくというもの。要はこれでもかこれでもかのゼエゼエ、ハアハア系を言う。我が国で持久系のルートと言った場合、一般的にはこれを指すことが多い。

(中略)

一方のレジスタンスとは、10手近くをレストどころかチョークアップもできずに連続してこなさなければならないようなものを言う。この手のクライミングは国内ではボルダリング以外、相当高レベルにならないとあまり出くわさないが、外国、特にヨーロッパでは比較的多く、慣れない者をてこずらせている。

杉野保さんによる「レジスタンス」の解説。

無酸素系のムーヴが数手続き、息ができず苦しくなるようなルートを表現するときに使う。
前傾フェイスでボルダームーヴが10手くらい続いたり、思わずうめき声が出てしまうようなルートがそう。

自分にとって高難度なルートになればなるほど、レジスタンス系の色合いが濃くなる。そのためのトレーニングとしては、ジムで1手1手をなんとかこなせるくらいのムーブを10手くらい積み重ねたボルダー課題を自作するのが良いのではないか。

万人向けのジム課題は、6~7手のミジカシイ系(1手核心)なのでヨレる前に落ちてしまったり、20手~30手のストレニュアス系(それなのに1手核心?)だったりする。この夏のジムめぐりを振り返ってみても、どこも状況は似たり寄ったりであった。例外として、PUMP2やTウォール東村山店のような一部の大きな壁では意図せずしてレジスタンス系になるようだ。

いずれにせよ限界前後の匙加減は自分にしか出来ない。自分の得意系のムーブに片寄りやすい欠点はあるものの、ジム課題や他人の課題と半々で取り組めばよいのではないかと思う。

月曜日に自作した「コーネリアス」。1手1手は出来るので何度でもトライできてしまう。ムーブが難しいから落ちるのではない。パンプしたから落ちるのでもない。ヨレる(ATP-CP系のエネルギーが涸渇する?)から落ちる。自分にとってはまさにレジスタンス系。不調なのに打ち込んだものだから、指や前腕の疲労がまだ抜けきらない。

コメント

  1. k師、なるほど。T-WALL東村山の左壁側の課題は、10~15手ぐらいあります。そのあたりが一番実践的でいいなぁと直感的に思ってました。BPあたりの長ものだと途中の凹角部分でレストできちゃったり、意図的にレストしないで続けないと効果が薄いかなぁとは感じてました。それと、「パンプして落ちる」と「よれて落ちる」の違い。わかりやすいですね。私の場合、ストレニ系課題もムーブがこなれていないうちはレジスタンス系になってしまいます(笑)。外岩ルートでもストレニ系の範囲なら、何度も繰り返して、ムーブやレストを洗練させていって登れる可能性があるが、レジスタンス系はポテンシャル上げないと登れないんでしょうね。具体的なルート名でケーススタディしてもらえると、もっとうれしいです。宜しくお願いします。

  2. 無名のK より:

    外岩王の きん さんにケーススタディを示すなんて滅相もないです。レジスタンス系に強くなるためには、じゃあレジスタンス系だけやればいいかと言うと、これまた違うわけです。理論的には、最大筋力が向上すれば、ストレニュアス系と同様にレジスタンス系も強くなるわけでして……。ひとつだけ確実なのは、ジムでレジスタンス系の課題に出会うことは滅多にないということ。設定者としてはどうしても顕著な核心を入れたくなりますからね。トレーニングにメリハリをつけるために、レジスタンス系も取り入れるというスタンスで良いのではないでしょうか。ただしレジスタンス系はやり過ぎに注意です。負荷が軽めのキャンパシングをするようなものですから。私は1週間前のダメージからまだ回復しません。